多動・衝動性優勢型のイラスト

多動・衝動性優勢型

――「止まらないエネルギーのかたまり」

じっとしていられない。話の途中で口が勝手に動く。思いついたことは、その場ですぐに試してみないと気がすまない。落ち着きのなさ? いいえ、それは止まらない“好奇心”のエンジン。周りに合わせるのがつらいのは、「もっと早く、もっと遠くに行きたい」気持ちがあるから。失敗も多いけれど、その分、誰よりも行動してきた。あなたのスピードが世界を動かす。

弱み

多動・衝動性優勢型は、まるでじっと落ち着いている方が疲れるかのように、足先はそわそわ揺れ、頭の中では「早く何かをしたい」という気持ちが跳ね回ります。授業や会議で席に座っていても、机の角を指で叩いたり、足をリズムに合わせて動かしたりせずにはいられません。先生の説明を聞いているつもりでも、ふと「放課後に友だちと遊ぶゲームのこと」が浮かび、次の瞬間には「昨日ネットで見た新しいスニーカーがほしい」という思いが割り込んできます。

じっとしていられない感覚は、話し方や行動にも表れます。誰かが話し終わる前に「それってさ!」と口をはさんでしまい、あとで「またやってしまった」と顔が赤くなる。コンビニで買う予定のなかったお菓子を、レジ横に並んでいたというだけで手に取ってしまい、家に帰って後悔する。スマホの通知が光るたび、勉強中でも反射的に画面を開き、気づけば動画を何本も見てしまう――こうした衝動的な動きは、ブレーキよりアクセルの方が強く踏まれているような状態だと考えるとわかりやすいでしょう。

エネルギーが一日中高回転で続くと、夕方には突然ガス欠になります。午前中は元気いっぱいだったのに、帰宅したころには宿題や家の手伝いをする気力がスッと消える。すると「やるべきことが終わらない自分」にイライラし、そのストレスでまたスマホやゲームに飛びつき、さらに時間がなくなる――そんな悪循環に陥りやすくなります。

また、思いついたまま動く速さはときどき危険も連れてきます。信号がまだ赤なのに「今行けそうだ」と飛び出したり、自転車でスピードを出しすぎてヒヤリとしたり。感情の動きも急カーブを描きやすく、友だちとの小さな行き違いでカッとなり、後から言いすぎたと落ち込むことも珍しくありません。「落ち着きがない」「思慮が足りない」と周りに言われるたび、少しずつ自信が削れていくのが、このタイプが抱えやすい痛みなのです。

強み

けれど、その絶え間ないエンジンは大きな力でもあります。まず挙げたいのは行動力の速さです。おもしろいアイデアがひらめいた瞬間に体が動くので、思いつきを形にするスピードはクラスでも随一。文化祭の企画を決める話し合いで、「だったら実際に作ってみよう!」と真っ先に手を挙げ、段ボールや絵の具をかき集めて原型を作り上げる。周りが感心して後を追うころには、もう次の改良案を考えている――そんな頼もしさがあります。

次に光るのがエネルギッシュな存在感です。声に抑揚があり、ジェスチャーも大きいので、発表やプレゼンでは自然と視線を集めます。友だちが尻込みしているとき、「まずやってみようよ!」と明るく背中を押し、クラス全体の空気を一瞬で盛り上げることもできます。

また、ハプニングに強いのも大きな長所です。サッカーの試合でボールがイレギュラーバウンドしても、とっさに反応してゴール前へ走りこむ。班で作った作品が壊れても、「テープと紙で直せるよ」とすぐに代案を出し、みんなを安心させる。突発的な状況で瞬発力を発揮できるのは、考えるより先に体が動く性質のポジティブな一面と言えるでしょう。

さらに忘れてはならないのが挑戦を恐れない心です。未知のゲームや新しい場所にワクワクし、「失敗してもおもしろいかも」と笑える柔軟さを持っています。その姿勢は、変化の速い今の時代において、学び続ける力やチャレンジ精神として大きな武器になります。

この強みを最大限に生かすには、エンジンの向きを少しだけ調整することが大切です。決断を急ぎたくなったら、心の中で「3・2・1」とゆっくり数える。体を動かしたくなったら、授業の合間にストレッチを入れる。買い物アプリを開く前に、「一晩寝かせてからもう一度見る」というマイルールを決める。こうした小さなブレーキを習慣にすれば、スピードはそのままに、曲がり角で曲がれる安全なドライバーになれます。

多動・衝動性優勢型のあなたは、「止まれ」と言われても止まれないレーシングカーかもしれません。でも、コース取りを学び、タイヤを整えれば、誰より速くゴールへたどり着く力を秘めています。動き続けることを恥じるのではなく、そのスピードで周りをワクワクさせる――それが、あなたの個性を輝かせる最良の方法なのです。

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