――「思考と行動のブースト」
頭の中では次々に想像や考えが生まれ、同時に体は動き始めている。まるで指揮者のいない演奏のように、思考と行動が勝手に進んでいく。静止より行動、計画より直感。そんな毎日は、ときに空回りするけれど、噛み合った瞬間には誰にも真似できないテンポで物事を進めていける。混合型の脳は、「考えてから動く」のではなく、「動きながら考える」天性のエンジンを持っているのです。
混合型の朝は、「不注意」と「多動・衝動」の両方が顔を出します。ベッドから起きあがり着替えようとしても、途中でスマホの通知が目に入り、没頭しているうちに登校時間が迫っていることを忘れる。急いで家を出て電車に乗ると、暑さと狭さでイラ立ちを感じ初め、足を上下に揺さぶりシャツの胸元をパタパタと動かし眉間に皺を寄せ、忙しなく体が動く――そんなドタバタがくり返されます。「抜け落ちる」と「突っ走る」が一続きで起こり、慌ただしさそのものがこのタイプの特徴になります。
教室に着いても両者は分かちがたく結びつきます。先生の説明を聞いていても、少し退屈だと感じた瞬間に頭は別の考えに潜り込み、黒板の文字が抜けてしまう。ところが次の瞬間、ノートの余白にアイデアがひらめくと、ペンが止まらなくなり、周囲の気配を忘れて書き続ける――集中が切れる動きと突発的な集中が同じ線上に並ぶため、授業内容の抜け漏れとノートの落書きが同時に増えていくのです。
会話の中では、友だちの話の途中で自分の頭の世界に入り込み、別の話題を思いつくと、「ていうかさ」と話を変えてしまい、あとになってそのときの場面を思い出して「空気を読めてなかった」と後悔します。このように、思考が飛ぶ(不注意)⇄言葉や行動が飛び出す(衝動)がワンセットになって現れるため、空気を読む前に場を動かしてしまいがちです。
時間感覚は両極端で、楽しく刺激的なことに夢中になると(衝動・多動)、数十分が数分に感じられ、退屈な課題を前にすると(不注意)、数分が何倍にも引き延ばされる。結果、締め切り前夜まで手をつけず、あわてて取りかかると今度は深夜までノンストップで作業に没頭する。こうして「先延ばし」と「一気追い込み」が一つの循環として起こるため、生活は波が大きくなりやすいのです。
けれど、ふたつの特性を同時に積んだ脳は、ほかにはない推進力と広がりを秘めています。意識が軽やかに跳び、同時に行動のスタートダッシュが早い――この組み合わせは、ほかのどのタイプよりも機敏な発想実行力を生み出します。新しいアイデアが浮かんだ瞬間、頭に留める暇もなく体が動き始めるので、文化祭の企画やクラブ活動の作戦など、形にする速さは群を抜きます。
また、興味をひく刺激があると深い没頭モードへ一気に入り込むため、短時間で高い集中を発揮するパワーがあります。ノートの余白に描いた落書きが、そのままポスター原案になることもあれば、部活で思いついた練習法を即座に試してチームを驚かせることもあるでしょう。飛び抜けた集中と即行動がくっついているからこそ、発想がアイデアで終わらず成果として残りやすいのです。
さらに、注意が外へも内へも広がるため、周囲の変化を感じ取り、同時に場を盛り上げることが得意です。友だちの小さな表情の変化や教室の雰囲気を敏感に察知し、違和感を覚えるとすぐ冗談やアイデアで空気を変える。思いつきの言動が仲間の笑いを誘い、クラス全体のムードメーカーとして頼られるのも、注意の幅と衝動の推進力が合わさった結果です。
この力を活かすコツは、“飛ぶ”前に小さな足場を置くこと。思い立ったら即メモを取り、行動に移す前に「一呼吸」置く合図を決める。メモという足場で抜け落ちを防ぎ、一呼吸で急カーブを和らげれば、うっかりと突進は衝突せず、スムーズな流れへ変わります。絡んだ糸を切り離すのではなく、ゆるく撚り合わせて一本の手綱にする――それが混合型が自分の才能を最も輝かせる方法なのです。
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